都会が「怖い」高校生達
夏休みを旅行と家事に費やし、仕事以外のことで頭と体を使ってクタクタの投稿者です。
いよいよ入試まで5ヶ月。夏の間に取り組んだ課題で浮き彫りになった各自のウィークポイントを 改善しつつ、新たなテクニックを求め模索する時期です。 さてさて、夏期講習も終了し、受験までの年間カリキュラムの一つの節目を終えた訳ですが、講習会冒頭に毎年行うのが「進路意識調査」。早い話が受験生の現時点での気持の「ゆらぎ」がないかなどを 報告してもらうマンツーマンの座談会のようなものです。 最近の進路指導で良く聴かされるのが「東京に出るのはちょっと、、、、」という都会への恐怖心や 親元から離れられない「誰かに守られた穏やかな場所から離れたくない」という依頼心です。 お預かりする多くの受験生が現在活躍される何人かの有名デザイナーやアーティストへの憧れから美大受験を選択していますし、私共のところへ通ってくれてもいるのですが、ようは 「東京にはいかずに佐藤カシ○氏や佐○卓氏のようなでっかい仕事をするかっこいいデザイナーになりたい」 と言うのです。 多くの地方美大が抱える問題は首都圏のそれ以上に「就職難」であるということです。 金沢美術工芸大のように「地元の地場産業である伝統工芸士を育成する」という大義をもった大学というのは実はそれほど多くありません。無論、地元の産業を首都圏へ、または世界へ送り出すための 一つの重要な要素としてデザインやそれを担う若者をを育てようと設立した、、、その思いが大きかっただろう事は否定しません。ですが現実は高額な設備投資をし学生から高額な授業料を徴収し、芸大卒だの多摩美院卒だのの優秀な指導者を据えても「地元の経済」を底上げしない限り、卒業生達は行き場を失うシステムは改善されませんし、改善するも何も、地元経済は中央に、中央(首都圏)経済は主に東京に、東京の経済はアジアに、アジアは世界に、、、と繋がっていて、ある日突然「地元経済が盛り返す」なんてことはある訳がありませんから、ことは「大学の教育システム」の問題では無かったりします。 多くの新興勢力(開校20年未満の美大)はほとんどがそうした「地方の活性化、都市化」をもくろみ、また、当て込んで設立されました。故に、地元経済の盛衰と一体化した「力」しか持ち得ない。 産業が盛んであれば就職もある。逆に産業が衰退すれば就職は無い。 新潟の場合、地域では「三条、燕」のような金属加工業とごく一部の家電メーカー、空調機器メーカーが全国的に知られているものの、地場産業として手工芸などの発達は勿論、金沢や京都などとは比べるレベル(製品の善し悪しではなく、全国的な認知度)になく、しかも少数の技術者(職人さん)が家内制手工業的に行っていて「後を継ぐ者の不在」はあれど「給与をしっかりと出し、会社として経営して行ける」だけのマーケットを持っていないので「美大出身者、新卒者を雇用する」というふうには決してなって行かないのが現状です。 新潟に限らず他の地方都市でもまだまだデザインの「商売における位置づけ」は低く、且つ、そのデザインの多くの場合の現場である雑誌などの紙媒体もまた衰退している現在。大学が存亡を懸け、雇用など見込めないデザイナー予備軍を募集し排出し続け、また実状を知らされない、知らされても見ないようにしている高校生は憧れだけでデザイナーを目指し続ける訳です。当然、高額の授業料4年分を回収出来るような仕事に就けるのは一握り、、、、いやいや「ひとつまみ」なのです。 当然のように首都圏でも大阪を中心とする関西圏でも実状はそれほど変わりませんから、美大新卒者は20も30も入社面接を受け、内定が出ない。地方の美大生は地元では就職がないので首都圏に職を求める。 地方の美大から中央のより大きな仕事(広告費が巨額でメディアの露出度の高い)にありつくことは 不可能、、、とは言いませんが、かなりそれに近い。同様に就職は難しくともまだ可能性のある有名美大、芸大の方が「やりたい仕事にありつける」可能性が高い事は言うまでもなく、高校生にはまず やりたい事を聴き、その為に可能性の一番高い大学とその高校生の性格は性質上、「カリキュラムがしっかりしている大学」と「自由度の高い大学」を紹介し、推薦したりします。ところが 「東京はちょっと。。。。。」 「大阪はがさつな感じがして、、、、」 選択肢がなくなってしまうのです。 居住する場所、都市の趣向は勿論自由ですし、行きたい大学に行って欲しいとも思います。 ですが、、、、 「東京に行かずに佐藤可し○になりたい」とは、今のところ 「海外にいくのは面倒だし、怖いけど、本場のイタリア料理が新潟で食べたい」と行ってるのと同義なのです。
by artnova
| 2013-09-10 19:19
| 教育
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