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このままでいいなんて誰も思ってないですよね

当方のデザイン科を担当してくれている女性講師は8〜9年前に私が指導し、多摩美術大を卒業した
者です。長らく、きちんとしたパンフレットを準備出来ず、各高校へのDMもかなり脆弱でご迷惑をお欠けして来ましたが、この度、全てを一新した学校案内が出来上がり、夏期講習要項とともに全県の高校へ。同時に、デザイン科講師に日中、市内のいくつかの高校へ「営業?」に行かせています。

10数年前、先代所長より業務を引き継いだ際、私自身も全県30数校へのご挨拶周りをさせて頂き、その後も数回にわたり勤務講師がお邪魔させて頂きました。そのころから問題は上がっていたのですが今現在、高校の美術教諭の方々は半数が「非常勤」でいらっしゃいます。県下には107校の高等学校がございますが最早高校の美術教諭の正式採用試験は10数年なく、徐々に非常勤化が図られています。そのため私共のような外部業者がいくらDMを送っても未開封で放置されたり、開封して頂いても学生達の美術受講が選択で、美術部の指導も上手く回っていないという話。有益な情報も肝心の受験志望者に渡っていない現状があります。
結果、これは新潟に限った事ではないのですが、特に地方では美術大学受験者の準備不足が目立ち、
東京芸大を筆頭とする公立芸大、難関であり続ける私大への合格者は減りつつあり、また私共のような受験指導を生業とする予備校への通学者は激減しています。
無論、非常勤化の問題のみが原因ではなく、不透明な先行きへの不安から安定した職業への希望を持つ高校生も多いですし、定員割れをした美大への無試験に近い入試だけを求める受験生も多い訳ですから状況は頭の痛い話です。

ただし、事の本質はそうした「状況」のみにあるのでは無いようで、高校を訪問させて頂いても帰ってくるのは「そうした受験準備を促しているのですけど、肝心の受験生が何もしようとしてくれない」というご返答。問題の本質は状況もさることながら肝心の受験生達のメンタリティーにあるように感じますし、ほとんどの美術指導者がそれを感じていながら「何も出来ない」「何もしない」ことにあるようです。無論、我々のような一介の受験屋がご家庭の教育方針や子育てに口を挟む立場に無い事も、高校での指導、中学での指導、小学校での指導、、、受験に至る年齢までに教わるべき「生きる」為の力や想像力、協調性などの指導不足だけを捉えて「だからダメなんです」と言う事も言えるはずもありません。そう、私を含む「大人全員」が危機的とも言える若年層の「虚脱感」を生み出してしまったのですから。

ある高校の美術教諭からおしかりをいただいた事があります。
「アートノバさんは厳しすぎて当校の学生が自信を失ってしまいました。少し学生に迎合されて、時代のニーズを考えられては?」と。情けないお話ですが、そういわれて引きつった笑いしか出来ませんでした。

しかし本当にそうでしょうか。様々な要因、、、とは言いましたが、結局の所、そうした大人の子供に迎合する気弱なスタンスが自身の人生を考える事も状況を工夫によって換えようとする力も子供達から奪っているように思えてなりません。
斯様に語気を荒げても空回りするだけなのは20数年、3000人を超える指導の経験上、充分承知しています。批判だけは出来ても私自身がその子供達の抱える問題をクリアにして上げられずに悩み続けている訳ですし、今後も明確な答えや方法もないまま「体当たり」でひとり一人にアプローチを試み、「人生とか、人とか、、、、、大人になる、、、とかさ、面白いよ」と語り続けるのだと思います。



でも、、、ですね。高校3年生の夏。「浪人出来ない」条件で「先生の所では芸大に何人合格してますか?」はやめていただけませんか?^^:ね。 今現在新潟で受験対策をして東京芸大生をやっている学生は私の教え子の3人だけだと思います。。。
現実の正しい情報を早期に、学生に迎合するのではなく、「現実がどこにあり、どういうものなのか」「それを獲得する手段と努力の必要性」を我々大人が逆に彼らに啓蒙せずに子供達が幼い価値観や世界観で世の中を色眼鏡で見続け、自分を「辛いな」とだけ思い続ける状況はきっと無くなりはしないのでは無いでしょうか。


手をこまねいている猶予など、もはやどこにもないのだと言う事を大人は認識せねばなりません。
by artnova | 2013-07-12 18:46 | 教育
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